「ホームページを公開してから、SEO対策業者から電話が頻繁にかかってくる」というご相談を、よくいただきます。
毎月のように複数の業者から電話が入る。中には「あなたのホームページは、あと一歩で1ページ目に入ります」と言われる電話もある。なぜこんなに電話営業が多いのか。
本記事ではその仕組みを扱います。
業者はテレアポ部隊で営業している
SEO対策業者の多くは、テレアポ部隊(電話営業専門のスタッフ)を抱えています。中小規模の業者でも、数人〜十数人のテレアポスタッフを常時雇用しているケースが珍しくありません。
業者の求人サイトを見ると、「テレフォンオペレーター」「コールセンタースタッフ」「アポイントメント獲得スタッフ」といった募集が出ているのを目にします。給与体系は基本給+成果報酬。1日に何件のアポを獲得したか、何件の契約に繋げたかでインセンティブが変わる。
つまり、業者にとってテレアポは「営業の中核」なのです。
ターゲットリストの作り方
業者は手当たり次第にかけているわけではなく、ターゲットを絞ったリストに対して電話をかけています。リストの作り方は複数あります。
タウンページや法人データベース
業種別・地域別に整理された電話帳・法人データベースから、対象業種の事業者を抽出。「リスト業者」と呼ばれる、リスト販売を専門にする会社から購入することもあります。
検索結果からの抽出
「業種名 地名」のような商用キーワードで検索し、結果の2〜3ページ目に出てくるホームページから、運営者の電話番号を抽出。これが成果報酬型SEO業者の典型的なリスト作成方法です。
HTML文書構造の点数化
対象サイトのHTML文書構造を自動で点数化し、HTML実装ができているサイトを「上位表示のポテンシャルあり」と判定。営業先リストの優先度を上げる。
詳しくはなぜSEO対策業者は「Googleガイドラインに沿ったHTML実装ができているホームページ」を狙うのかで扱っています。
代理店モデルが営業電話を増やしている
SEO業者の中には、自社で施策を行うのではなく、代理店として営業だけを行う会社もあります。
代理店は本体のSEO業者と契約し、お客様を獲得すれば紹介マージンが入る仕組みです。代理店からすると、自分たちで施策を行う必要がないので、ひたすら新規契約を取りに行く。電話営業に専念できる。
1つの本体業者に対して複数の代理店がついていることがあり、結果として全国的に電話営業が多発します。同じ業者の商品が、別々の代理店から似たような電話で営業されてくることもあります。
業者によっては、代理店モデルでテレアポ部隊を外注している会社もあり、契約獲得のためなら手段を選ばないようなアプローチをするケースもあります。「断っても何度もかけてくる」「個人名で電話してきて取引先のふりをする」といった悪質な手口の報告もあります。
業者がテレアポに頼る理由
業者が電話営業に頼るのは、それ以外の集客手段が機能しにくいからです。
検索からの自然流入が少ない
SEO業者であれば、自社サイトを上位表示できるはずです。「SEO 名古屋」のようなキーワードで自然流入を取れれば、わざわざ電話営業する必要はないはず。
しかし実際には、多くの業者は自社サイトでも上位表示できていません。SEO業者自身が、SEO関連のキーワードで上位を取れていない、というのは業界の隠れた現実です。
「ユーザーから自然にSEOの依頼がきている業者であれば、営業を行う必要はない」というのは、業界内でも認められた事実です。
紹介・口コミが少ない
ホームページ制作のように成果物が明確な商品と違い、SEO対策はお客様が成果を実感しづらい商品です。「順位が上がった」「お問い合わせが増えた」と感じても、それが業者の施策によるものか、別の要因なのか、お客様には判別がつきにくい。
だから既存のお客様からの紹介が増えにくい構造になっています。
新規開拓に頼るしかない
検索流入も口コミも見込めないので、新規開拓に頼るしかない。電話営業が最も手っ取り早い手段になります。
ノルマも厳しく、テレアポスタッフは「断られても断られても電話をかけ続ける」働き方になります。だから受ける側のお客様には、毎月のように電話がかかってくる。
特定商取引法との関係
電話勧誘販売に関しては、特定商取引法による規制があります。
- 勧誘の前に事業者名と勧誘目的を告げる義務
- 一度断られた相手への再勧誘の禁止
- 契約書面の交付義務
- クーリング・オフ(契約から8日間)
ただし、これらの規定は個人の消費者を対象としたものです。事業者間の取引(BtoB)には適用されません。
中小企業の経営者、個人事業主、店舗オーナーは、法的には「事業者」です。だから、SEO業者からの電話営業に対しては、特定商取引法による保護は基本的に効きません。
これは法律の盲点でもあり、悪質な業者がBtoBを狙う理由の1つでもあります。
業者は「商業取引」として契約書を作る
業者の契約書には「商業取引」と明記されていることが多い。これは「お客様は事業者であり、消費者保護の対象外」と業者側が念押ししているわけです。
裁判になっても、契約書にサインしている以上、不利になるケースが多くあります。
営業電話の見抜き方
電話を取ったときに、相手の業者の質を判断するヒントがいくつかあります。
名乗りが曖昧
「○○マーケティングの△△と申します」と社名を名乗らない、もしくは個人名だけで自社名を伏せる電話は要注意です。法律上、勧誘前の事業者名告知は義務ですが、悪質な業者はこれを守りません。
自社サイトで電話勧誘について触れていない
きちんとした業者であれば、自社サイトに「お問い合わせはこちら」「メールフォームから」と書いてあり、電話営業はほぼしません。電話で営業してきた業者の自社サイトをチェックして、サービスの詳細や料金体系が明示されていない場合は、警戒すべきです。
SNSやスタッフ情報が無い
業者の代表者やスタッフのプロフィール、業界での発信が無い場合、その業者の実態が分かりません。隠さなければならない理由がある可能性があります。
即決を迫る
「今日中に契約していただければ初期費用が半額」「いまだけのキャンペーン」のように即決を迫る業者は、考える時間を与えたくないからです。優良な業者なら、お客様にじっくり比較検討してもらいます。
やまだやの考え
きちんと仕事をしているWeb制作会社・SEO業者は、電話営業にほとんど頼っていません。お客様からの紹介や、自社サイトからの自然流入、長年の取引先で十分に新規案件が回ってくるからです。
逆に言えば、毎月のように電話をかけてくる業者は、なぜそうせざるを得ないのかを考える必要があります。既存のお客様が満足していて、紹介が回っているなら、わざわざ知らないお客様に電話する必要は無いはずです。
電話営業の多さは、業者の営業力の現れではなく、サービスの質の低さの現れであることが多い、というのがやまだやの見方です。
やまだやはSEO設計を行っています
やまだやはお客様への電話営業をしていません。ホームページからのお問い合わせと、既存のお客様からのご紹介でお仕事をいただいています。
SEO設計の中身については「SEO設計」とは具体的に何を指すのか?で詳しく書いています。