ホームページを公開した後、「順位が上がるまで費用はかかりません」とSEO対策業者から電話営業を受けることがあります。
成果報酬型のSEO対策業者がどう動いているのか。ターゲット選定から報酬発生まで、ビジネスモデルを通して見ていきます。本記事はシリーズの入り口として全体像を扱い、各ステップの詳細は個別の記事で掘り下げていきます。読み終わると、業者がなぜそのやり方で順位を動かせるのか、そしてそのビジネスモデルが何を前提にしているのかが見えてきます。
SEO業者の3つのモデル
まず業界全体を整理しておきます。SEO対策業者と一口に言っても、料金体系で大きく3つのモデルに分かれます。
リース契約型 ホームページ制作・更新ソフト・SEO対策をまとめて3〜7年のリース契約で販売するモデル。契約直後にリース会社から業者に全額が一括入金されるため、契約後はほぼ何もしないケースが業界で問題化してきました。これはリース契約型SEO対策業者のビジネスモデルで扱います。
月額固定型 月額制で内部対策・コンテンツSEO・外部対策をバランスよく実施するモデル。中長期的にホームページ全体を改善する設計で、現在のSEO業界の主流です。
成果報酬型 「順位が上がるまで費用はかかりません」を訴求するモデル。本記事の対象です。業者の作業範囲を意図的に限定することで、この料金体系が成立しています。
ここからは成果報酬型のビジネスモデルを、業者の動きに沿って見ていきます。
成果報酬型SEO対策業者のビジネスモデル
1.ターゲット選定
業者は手当たり次第に営業しているわけではありません。
検索エンジンで「業種名 地名」のような商用キーワードを叩き、検索結果に出てくるホームページを調べます。HTML文書構造を点数化する独自の仕組みを持っている業者もあり、ある程度の点数が出ているホームページを「上位表示のポテンシャルがある」と判断して、営業先のリストに入れます。
ここに業者の生命線があります。被リンクを足したり新しいページを追加したりして順位を動かせるのは、もともと内部構造がGoogleに評価されているホームページだけです。だから業者は、すでに整っているホームページを優先的に狙います。
きちんと作られたホームページほど営業の対象になる、という皮肉な構造があります。なぜGoogleガイドラインに沿ったHTML実装ができているホームページが業者に狙われるのか、そして業者が施策できるのが「HTML実装ができているサイトだけ」である構造的な理由については、なぜSEO対策業者は「Googleガイドラインに沿ったHTML実装ができているホームページ」を狙うのかで詳しく扱います。
2.営業
「順位が上がるまで費用はかかりません」が代表的な訴求文句です。
成果報酬型という建付けが「やってみるだけならリスクはない」とお客様に感じさせます。SEOに詳しくないお客様ほど、この訴求は刺さります。
ただし「無料」ではありません。業者によって異なりますが、初期費用と最低契約期間(半年〜1年)を組み合わせている業者が多くあります。
業者は事前にHTML文書構造を点数化しているので、点数が高いホームページに対しては、お客様が承諾しやすい見積もりを出せます。結果として、HTML実装ができているホームページには営業が刺さりやすい構造になっています。
業者によっては代理店経由で販売しているところもあり、代理店も成果報酬型なら売りやすいので積極的に提案します。そのため全国的に電話営業が多発します。この電話営業がどういう仕組みで毎月かかってくるのかは、SEO対策業者の電話営業はなぜ毎月かかってくるのかで扱います。
3.契約
契約の中身は、指定キーワードがGoogle検索で10位以内に入った日数 × 単価で課金、というものです。
1位〜5位で1日2,500〜3,000円、6位〜10位で1,500〜2,000円が相場。複数キーワードを同時に対象にすれば、月額で数万円〜数十万円になります。
契約書には、最低契約期間、自動更新条項、解約予告期間(30〜60日前)、違約金などが含まれます。これらは業者側のリスクヘッジと、解約防止の仕掛けでもあります。
4.施策
業者の施策は、初期費用の段階の作業と、その後の継続的な作業に分かれます。
初期費用の段階で、業者がちゃんと施策をしようとするなら、HTML文書構造の書き換え、つまりSEO設計の作業が必要です。やらないと、その後の被リンクや新規ページが効かないからです。表向きは「分析」「キーワード選定」と説明されますが、実態として手を入れているのはHTML文書構造です。
ただし、初期費用を取りながらこの作業を省略する業者もあります。被リンクと新規ページだけで押そうとするケースです。
継続的な作業は2つあります。
ひとつは被リンクの設置。業者自身が運営するサテライトサイト群、いわゆるPBN(プライベートブログネットワーク)から、お客様のホームページにリンクを設置します。PBNの仕組みと、これがGoogleガイドラインとどう関わるかは、SEO対策業者が使う「被リンク施策」の正体 ─ PBNとサテライトサイトで扱います。
もうひとつは新規ページの追加。検索結果の上位3〜10位の記事構造を分析し、その構造を参考にして指定キーワードを含む新しいページを作り、お客様のホームページに追加します。このページの中身が、お客様の業務とほとんど関係のないコンテンツになることがあります。そのカラクリは、SEO対策業者が作る「キーワード稼ぎコンテンツ」の実態で扱います。
5.順位上昇 → 報酬発生
ターゲット選定の段階で「あと一歩」のホームページを選んでいるので、被リンクと新規ページの追加で順位が動きやすい。10位以内に入れば報酬が発生します。
ここまでが業者のビジネスモデルの基本フローです。
6.維持
報酬発生後も、業者の仕事は終わりません。
Googleの検索アルゴリズムは頻繁に更新されます。今まで効いていた被リンクが評価されなくなったり、追加したページが順位を落としたりします。そうなると業者は「方針変更が必要です」「対策キーワードを別のものに変えませんか」「再調査をします」と提案してきます。
アルゴリズム変動を機会として、追加施策・契約延長・対策キーワードの差し替えで継続的に収益が発生する仕組みになっています。上位表示が続く間は、月額10〜20万円以上の支払いが続くケースが多くあります。
7.解約時
業者は契約終了で被リンクを撤去します。被リンクの力で上位をキープしていたホームページは、順位が急落します。
「外されるのが怖くて解約できない」というお客様の悩みが、業界では常態化しています。解約予告期間や違約金条項も組み合わさるため、お客様の意思だけでは契約を終わらせるのが困難です。この「やめにくい構造」がどう作られているかは、契約終了で被リンクを撤去される構造 ─ なぜSEO対策業者とやめにくい関係になるのかで扱います。
契約前に知っておくべきこと
ビジネスモデルが成立するために、契約にはいくつかの仕組みが組み込まれています。
Googleガイドライン違反のリスク お金を払って被リンクを設置する行為は、Googleが「リンクスパム」として明確に禁止しています。手動ペナルティを受けると、検索順位が大幅に下落するか、最悪の場合はインデックスから削除されます。初期費用でSEO設計の作業を省略し、被リンクと新規ページだけで順位を押そうとする業者の場合、このリスクは特に高くなります。
契約終了で順位が落ちる構造 業者は契約が終わると被リンクを外します。契約を続けない限り順位が落ちる仕組みになっています。
解約条項の縛り 自動更新条項、解約予告期間、違約金。これらが組み合わさると、お客様の意思だけでは契約を終わらせられません。実際に弁護士への相談が多く寄せられているのも、解約時のトラブルです。
やまだやの考え
SEO設計が無ければ、SEO対策は成立しない
やまだやでSEO設計を行ったホームページには、毎月のようにSEO対策業者から営業電話が入ります。
業者から見ると「Googleに評価されやすいHTML文書構造で書かれたホームページ」は「あと一歩で上位に入る、報酬発生条件を満たしやすいターゲット」になります。きちんと作られたホームページほど営業の的になる、という構造です。
逆に言えば、業者が施策をかけて順位を動かせるのはHTML実装ができているホームページだけです。HTML文書構造が崩れているホームページには、被リンクや追加ページを足しても順位は動きません。業者はHTML実装の上に後から乗っかっているだけです。
これはビジネスモデルそのものから見える事実です。後付けの「SEO対策」を成立させるには、構築段階での「SEO設計」が前提になっています。SEO設計を抜きにして、SEO対策だけを買うことはできません。
業者のビジネスモデルそのものが、SEO設計の必要性を証明しています。
業者は「お問い合わせ」を目的としていない
業者の報酬条件は「指定キーワードでの順位」です。「指定キーワードで1ページ目に入ること」を目的に、業者は「業種名 + 地名」のキーワードを含む新規ページを作ります。
ところが、その新規ページの中身は、お客様の業務とほとんど関係のないものになることがあります。たとえば「『業種名』が選ぶ『地名』のおすすめ観光地」のような記事です。
観光地を探してそのページにたどり着いた人が、その業種に家を建てる依頼をしたり、サービスを申し込んだりするでしょうか。普通に考えれば、しません。当たり前のお客様の気持ちより、検索結果の1ページ目に表示させることを優先する。これが業者のコンテンツ作成の発想です。
業者の目的は順位。お客様の目的はお問い合わせや契約。両者の利害が契約条件のレベルで一致していません。
ホームページの本来の目的は、検索した人に見つけてもらい、内容を読んでもらい、お問い合わせや来店につなげることです。順位はそのための手段であって、目的ではありません。順位を目的にすると、お問い合わせから離れたコンテンツが量産されます。
ここでもまた、SEO設計の話に戻ります。検索した人がお問い合わせしたくなる原稿を、お客様の業務に沿って書く。これはSEO設計の核心であって、業者の施策の外にある仕事です。
やまだやはSEO設計を行っています
SEO対策業者のビジネスモデルから分かる通り、検索順位を上げたければ、まずSEO設計を行う必要があります。HTML文書構造と原稿の両方を、構築段階で検索エンジンに評価されるように設計しておく。これがあって初めて、SEO対策も意味を持ちます。
やまだやでは、ホームページの構築段階からSEO設計を組み込みます。検索した人に見つけてもらい、内容を読んでもらい、お問い合わせや来店につなげる。この流れを、HTML文書構造と原稿の両方で設計します。
SEO設計の中身については「SEO設計」とは具体的に何を指すのか?で詳しく書いています。
これからホームページを作るご相談はもちろん、いま運営しているホームページのHTML文書構造が検索に適しているかの診断もお受けしています。SEO対策業者と契約中の方、契約終了後の方からのご相談も同じです。
このシリーズの記事
- 「順位が上がるまで無料」成果報酬型SEO対策業者のビジネスモデル(この記事 / ハブ記事)
- なぜSEO対策業者は「Googleガイドラインに沿ったHTML実装ができているホームページ」を狙うのか
- SEO対策業者が使う「被リンク施策」の正体 ─ PBNとサテライトサイト
- SEO対策業者が作る「キーワード稼ぎコンテンツ」の実態
- 契約終了で被リンクを撤去される構造 ─ なぜSEO対策業者とやめにくい関係になるのか
- リース契約型SEO対策業者のビジネスモデル
- SEO対策業者の電話営業はなぜ毎月かかってくるのか