解答
「ホームページが公開」「リニューアル」「オープン」といったフレーズで検索しているのは、営業業者と、その業者の代わりに動いているAIです。新しい営業先のリストを作るために検索しています。集めたリストは、営業電話・営業メール・お問い合わせフォームへの自動送信に使われます。
お知らせブログを書いた瞬間に、その検索に引っかかります。書いた直後に営業が増えるのは、ここに原因があります。
「ホームページが公開」で誰かが検索している
実際に使われている検索クエリは、おおむね次のような形をしています。
"ホームページが公開" OR "ホームページが開設" OR "hpが公開" OR "hpが開設" OR "ホームページがリニューアル" OR "hpがリニューアル" OR "ホームページがオープン" OR "hpがオープン"
8つのフレーズを並べ、OR演算子で結合し、ダブルクォートで完全一致にしています。網羅性を優先した記法です。
このクエリは、一人の人間が手で叩いているものではありません。新規公開・リニューアル直後の事業者を漏れなく拾うために設計された、機械的な収集を前提とした記法です。
検索しているのは誰か
これまでの常識では、こういう検索をしているのは、営業会社の中の人間でした。営業担当者が手でクエリを叩き、出てきた会社をExcelにまとめて、電話番号を調べて、上司にリストを提出する、という流れです。
いまは、検索しているのが人間とは限りません。AIが代わりに検索しているケースが増えています。
先進的な業者では、検索用のAIが、毎日のように同じクエリを叩き、新しくヒットした会社のサイトを自動で巡回し、事業内容を読み取り、会社ごとにカスタマイズされた営業メールを生成し、お問い合わせフォームから送信するところまで、自動化が進んでいます。返信があれば、一次対応の会話まで自動で進めて、最後の商談化見込みの段階だけ、人間に引き継がれます。
お問い合わせフォームから届く営業メールが、不自然に文体が整っていたり、貴社のサービスへの言及がそれっぽいが深掘りすると的外れだったり、深夜や早朝にも均等に届いていたりする場合、人間ではなくAIが書いている可能性が高いです。
「ホームページが公開」で検索する主体は、もう人間ですらないケースが増えています。
何のために検索しているのか
営業先のリストを作るためです。
「最近ホームページを作った会社」「リニューアルしたばかりの会社」「新規開店した店」を、毎日新しく見つけ出して、リストに追加するためです。検索クエリは、このリストを毎日更新する仕組みとして動いています。
新しく作られたお知らせブログがヒットすると、そのページに書かれている会社名・公開日・連絡先などが自動で抜き取られ、リストに登録されます。同じ会社が二重に登録されないように、過去のリストとの照合まで自動で行われます。
何に使うのか
新しく作られた会社に対して、営業電話・営業メール・お問い合わせフォームへの自動送信が行われます。
ホームページを新しく公開する会社の多くは、新規開業した会社です。新しい会社というだけで、ホームページ関連だけでなく、求人媒体・印刷物・オフィス用品・通信・税務・保険・融資など、ありとあらゆる業種の営業対象になります。新規開業の会社は、複数の営業リストに同時に載っている状態です。
本記事は、その中で「ホームページが公開」「リニューアル」「オープン」というクエリで拾われた会社に届く、Web関連の営業の話に絞ります。
「SEO対策しませんか」「リスティング広告どうですか」「サイトをもっと改善できます」。営業のキーワードは入れ替わっていきますが、狙う相手は同じです。新しく作られたばかりの会社です。
リストの精度が上がるほど、営業の効率も上がります。だから、業者は新しいリストを毎日欲しがります。新しい会社の公開告知は、その毎日の更新ネタになっています。
お知らせブログから、何が抜き取られているか
お知らせブログには、リスト作成にとって都合のいい項目が並んでいます。
公開日のタイムスタンプから、公開後何ヶ月かが正確にわかります。営業電話のタイミングを合わせる材料になります。
社長挨拶や代表メッセージが載っていれば、決裁者の名前と、Webに対する関心の温度が読み取れます。
「今後さらに充実してまいります」といった定型句は、追加発注の意思を示すサインとして読まれます。
書いている本人は挨拶状のつもりでも、外から見ると、これだけの情報を提供しています。
やまだやの考え
ホームページを公開した直後から、お客様にこう言われることがあります。
「お問い合わせフォームから来るのは、営業ばかりです」
これはほぼ確実に、お知らせブログを起点とした営業攻勢の結果です。せっかくホームページを作ったのに、届くのは営業ばかり。そういう状態が続くと、フォームの中身を見ること自体をやめてしまう経営者もいます。たまに本来のお客様から問い合わせが来ても、見落としてしまいます。これでは、ホームページの目的に届きません。
ホームページが公開された、という報告は、もともと取引先や既存顧客に向けたものでした。手紙、電話、メール、FAXなど、相手ごとに個別に伝えるのが一般的でした。それを、サイト上のお知らせブログとして書く形が広まりました。
サイト上に書くと、想定していない相手にも情報が届きます。挨拶状を待っている人より、リストを作ろうとしている業者と、その業者の代わりに動いているAIのほうが、ずっと多いです。発信した本人の意図と、受け取り手の構成は、もうずれています。
ホームページの目的は、検索した人に見つけてもらい、内容を読んでもらい、お問い合わせや来店につなげることです。お問い合わせフォームが営業の入り口になってしまえば、その目的が機能しなくなります。
公開告知を、サイト上のブログとして書く必要は、必ずしもありません。挨拶状として届けたい相手には、メールや郵送で直接届けるほうが、本来の意図に近いはずです。
書くか書かないかは、最終的にお客様の判断です。ただし、書く前に「誰宛なのか」を一度考えると、選び方が変わります。
お知らせブログを書く前に確認しておきたいこと
書くと決める前に、次の点を整理してみてください。
誰宛に届けたい告知ですか。既存顧客や取引先への報告であれば、サイト外で直接届けるほうが、相手の手に確実に届きます。
なぜサイト上のブログとして書きたいのですか。理由が「業界の慣習だから」「他社もやっているから」だけであれば、書かない選択もあります。
書くと決めた場合、どこまで詳しく書きますか。制作会社名、発注の経緯、社長挨拶、今後の予定など、載せる項目を絞ると、外部に渡る情報の密度は下がります。
書くか書かないかの二択ではなく、書き方の設計の話です。