解答
強みのある原稿は、現場でしか拾えない一次情報の上に成り立っています。 業界の慣習、社員同士の呼び方、顧客がよく口にする言い回し、置いてあるもの、誰がどんな表情で働いているか——これらはメールやヒアリングシートの文字情報には乗りません。 訪問工程が見積りに入っていない制作は、文字情報の範囲だけで原稿を組み立てることになります。 出てくるのは、業界の他社サイトでも同じことが書ける一般論です。
なお、ヒアリングシートで一般論しか集まらない構造的な話は、別記事「ヒアリングの意味はあったのですか?」で扱っています。
強みのある原稿は、何でできているか
ホームページで読者が「この会社に頼みたい」と判断する原稿には、共通点があります。
- その会社にしかない具体的なエピソードが入っている
- 業界の専門用語が、文脈に合った使い方になっている
- 同業他社と何が違うかが、一読で分かる
- 写真が、明らかに「その会社のもの」と分かる
- 数字や固有名詞(製品名・取引先・年数)が入っている
これらは、現場に行かないと拾えません。 机の上で文字情報だけを組み合わせても、出てきません。
メールとヒアリングシートで集まる情報の範囲
メールとシートで集まるのは、発注者が言葉にできる範囲の文字情報です。
- 会社の基本情報
- サービスメニュー
- 発注者本人が「これが強み」と書いた内容
- ターゲット顧客像(本人の認識)
- 5年後のビジョン
これらは原稿の骨組みにはなります。 ただし、肉付けには足りません。 読者の判断を動かす情報のほとんどは、文字情報の外側にあります。
現場でしか拾えない情報の具体例
訪問しないと拾えない情報を、具体的に挙げます。
- 業界の口癖・呼び方: 社員同士で何と呼び合っているか、顧客のことを何と呼んでいるか
- 置いてあるもの: 工具・設備・道具・本・在庫の積まれ方・整理の仕方
- 動きの速さ: 仕事のテンポ、判断のスピード、相談のしやすさ
- 顧客との接点: 来店客の様子、電話の応対、修理品の状態
- 創業者・職人の手の動き: 一つの作業に何分かけているか、どこに目を配るか
- 嫌がっているもの: 業界ではよくあるが、この会社ではやらないこと
これらは、本人にとって日常なので、シートには書かれません。 聞かれても「特に変わったことはない」と答えます。 だから、訪問で観察するしかありません。
「訪問」が意味すること
訪問は、移動の手間ではなく、観察と対話の工程です。
観察の層では、現場の空気・物の配置・人の動きを拾います。 対話の層では、観察したものを起点に「これは何ですか」「なぜこうしているんですか」と質問を重ねます。 本人にとって当たり前のことを、言語化してもらう作業です。
メールで同じ質問をしても、この工程は成立しません。 本人が「特に変わったことはない」と答えて、そこで終わるからです。
訪問なし制作で起こりやすい失敗
訪問工程のない制作では、次のような原稿になりやすいです。
- 業界用語の使い方が不自然になる
- 写真がフリー素材ばかりになる
- 「丁寧な対応」「お客様第一」「品質第一」など、どこの会社でも書ける文言で埋まる
- 数字や具体名のない、抽象的な事業説明になる
- 競合他社サイトと並べたとき、見分けがつかない
これらは、文字情報だけで原稿を組み立てた結果です。 書き手の能力ではなく、情報源の薄さが原因です。
発注者が確認できるサイン
納品された下書きを、次の観点で読み返してください。
- 競合他社サイトに載せ替えても違和感がないか
- 業界の専門用語が、文脈に合った使い方になっているか
- 写真が、自社の現場・社員・商品のものか
- 数字や具体名(製品・取引先・年数)が入っているか
- 読んで「うちのことだ」と社員が頷くか
ひとつでも怪しければ、現場の情報が拾えていない可能性があります。
やまだやが現場でしていること
やまだやは、制作の最初に必ず訪問します。 工場・店舗・事務所、いずれの形態でも現場に伺います。 発注者から「特に見せるものはない」と言われても、行きます。
行って、置いてあるものを見て、社員の動きを見て、何気ない会話を聞きます。 そこで気づいたことを発注者に「これは普通ですか」と質問します。 「普通です」と返ってきた答えのなかに、原稿の核が含まれていることが、よくあります。
そのうえで、原稿は順序を逆にして作ります。 ヒアリングで集めた内容から原稿を組み立てるのではなく、現場で見たもの・聞いたものをもとに、こちらが先に理想形の原稿を書きます。 それを発注者に読んでもらい、「ここは違う」「ここはこう言いたい」という反応を集めます。 反応のほうに、本人がふだん使っていない言葉、本当に大事にしている判断基準が現れます。
訪問せず、ヒアリングシートだけで原稿を作る制作とは、情報の集め方も、原稿に近づける順序も違います。 情報の量と、本人の言葉が拾える量の両方で、差が出ます。
やまだやのセカンドオピニオン
訪問なしの制作で出てきた下書きに違和感を感じたら、やまだやで確認できます。
- 制作会社が訪問していないことを共有してください
- 出てきた下書きの内容を見せてください
- 拾えていない現場情報の方向を指摘します
- 補強のための取材項目をお伝えします
やまだやで作り直すこと前提のサービスではありません。 いまの制作会社に何を伝えれば原稿が立て直せるか、その助言もします。