検索クエリは、利用者が考えていることの全部ではなく、その瞬間に頭に浮かんだ単語の断片です。クエリの単語をそのまま意図と読むと、本当の意図を取り違えます。クエリを読むのではなく、クエリを打ち込んだ”人”を読む。クエリの形、混ざる感情語、具体性、そして検索の直前の場面——この4つを手がかりに、利用者の意図と感情を読み取っていきます。
クエリの形で、利用者の段階を読む
クエリには形があります。形が分かれば、利用者が今どの段階にいるかが見えてきます。
「〜とは」「〜方法」のような質問形は、まだ知りたい段階。「比較」「おすすめ」「ランキング」が入れば、検討中で、選ぶ材料を集めようとしています。「近く」「すぐ」「[地域名] [サービス名]」のような形は、もう行動寸前。「失敗」「動かない」「[エラー]」のようなトラブル系は、困っていて、解決を急いでいます。
同じテーマでも、形によって利用者の状態はまったく違います。形を見ずに「このキーワードで記事を作ろう」と動き出すと、利用者の段階と中身がズレます。
実務上は、ホームページに集めたいクエリを、まずこの4つくらいに仕分けしておきます。
混ざる感情語から、利用者の心の状態を読む
クエリの中に混ざる単語には、利用者の感情がそのまま出ています。
「不安」「怖い」「失敗」「後悔」が入れば、ネガティブな状態で、慎重に選びたい。「すぐ」「簡単」「楽」が入れば、急いでいる、または手間をかけたくない。「本当に」「本気で」が入れば、真剣度が高い。「初心者」「初めて」が入れば、知識がないことを自覚している。
これらは、利用者が自分の状態を無意識に言語化しているサインです。ホームページ側がこの語を拾って書いていけば、「分かってくれている」と感じてもらえる文章になります。
実務上は、サーチコンソールで実際の流入クエリを眺め、感情語が混ざっている箇所を抜き出します。そこに利用者の素の声があります。
具体性で、行動の近さを読む
クエリの語数と修飾の細かさは、行動の近さを示しています。
「SEO」のような漠然とした一語は、まだ情報収集段階で、何を求めているか利用者自身もはっきりしていない。一方、「SEO 中小企業 名古屋 制作会社」のように4語・5語と具体的になるほど、状況がはっきりしていて、もう動こうとしています。
漠然としたクエリには広めの情報を、具体的なクエリには行動の入り口を返す——同じテーマでも、応え方を変える必要があります。
実務上は、流入してくるクエリのうち、語数の多い具体的なものを優先して見ます。そこに、もう動こうとしている人たちがいます。
検索の直前、利用者がどんな場面にいたかを想像する
ここまでの3つを踏まえて、最後に一番効くのがこれです。「この検索を打ち込む直前、この人はどんな場面にいたか」を想像する。
「歯医者 痛くない 名古屋」なら、歯が痛い、過去に痛い思いをしたか怖がっている、痛くない歯医者を地元で探したい、できれば評判のいいところがいい——検索前の数分を再構成します。
クエリは断片です。クエリの語そのものより、その背後の場面のほうが、本当の意図に近い。文章を書く側がこの場面まで降りていけば、応え方が自ずと決まります。
実務上は、ターゲットになるクエリを目の前に置いて、「この人は今どこにいるか・何を見て・何を考えてこの語を打ち込んだか」を、紙に書き出すくらいでちょうどいいです。
まとめ
検索クエリの背後にある利用者の意図と感情は、4つの手がかりから読み取れます。
- クエリの形(質問形・比較形・地域形・トラブル形)で、段階を読む
- 混ざる感情語(不安、すぐ、本当に、初めて)で、心の状態を読む
- 具体性(語数・修飾の細かさ)で、行動の近さを読む
- 検索の直前の場面を想像し、利用者が置かれた状況まで降りる
クエリを読むのではなく、クエリを打ち込んだ”人”を読む——この姿勢が、SEO設計でホームページが利用者に応える前提になります。