解答
応じる前に確認すべきことがあります。
業者が制作費の未回収分を求めること自体は、損害補填として理解できる範囲です。ですが、「残期間分の満額」と一括りに言われたときに、その「満額」が何の対価を含んでいるのかは、契約前に必ず確認しておく必要があります。
月額の中には、制作費の分割回収分だけでなく、保守費分やサーバー代、ドメイン代も含まれていることが多い。「満額」がそれら全部を指すのなら、解約後にサービスを受けない期間まで支払うことになります。
内訳が明示されない契約は、何の対価で何を払っているのかが見えません。
なぜこの条項が入っているか
業者側の事情を整理しておきます。
月額レンタル契約は、実質的にローン構造になっています。月額の中に制作費の分割回収分が含まれているため、契約期間の途中で解約されると、業者は制作費の未回収分を取り損ねます。
これを防ぐために「残期間分の満額」という条項を入れる。業者の損害補填としては、ある程度理解できる範囲の発想です。
たとえば100万円分の制作費を72ヶ月に分割して載せていた場合、24ヶ月で解約されると、48ヶ月分の制作費が未回収になります。それを補填する仕組みとして「残期間分」が設計されています。
問題は、その「残期間分」が制作費以外まで含めて「満額」になっていることが多い、という点です。
知っておくべきデメリット
「満額」の内訳が明示されない契約は、解約時に思わぬ請求につながります。
月額3万円・契約期間6年・残り48ヶ月で解約した場合、「満額」だと 3万円 × 48ヶ月 = 144万円。これが妥当な金額かは、月額の内訳次第です。
- 制作費の未回収分:業者の損害として理解できる範囲
- 保守費分:解約後はサービスを受けないので、支払う根拠は薄い
- サーバー代・ドメイン代:解約後は使わない期間分まで含む理由は薄い
ところが、月額の内訳が「制作費・保守・サーバー・ドメインを含みます」と一括りで示されているだけだと、解約時に分けて考えることができません。「満額144万円です」と言われても、その内訳を業者に確認しても明示されない、というケースが起こり得ます。
ここで気づくのは、月額の内訳を契約時に明示しない構造そのものが、解約時の交渉力を奪っているということです。
月額の内訳と対価の中身については、別の記事で詳しく書いています。
→ ホームページ制作会社に「月額3万円・6年契約」を提案されました。買い切りと比べて、長期的にはどちらが得なのでしょうか?
やまだやの考え
業者が制作費の未回収分を求めること自体は、筋として正当です。やまだや自身も同業者として、ここは業者の権利だと考えます。
問題は、「満額」の中身が見えないこと。これに尽きます。
月額の内訳を明示できる業者であれば、解約時の話し合いができます。「制作費の未回収分は払う、保守費分は減額を相談する」と分けて考えられる。お客様にとっても、業者にとっても、お互いに納得できる形に持っていける可能性があります。
月額の内訳を明示できない、または明示する気がない業者だと、解約時に「満額」を一括で求められて、交渉の余地がなくなる。これは契約の透明性の問題です。
契約前に確認すべきは、「中途解約時の満額の内訳はどう計算されますか?」という質問に対して、業者が明確に答えられるかどうかです。明確な答えが得られないなら、その時点で契約を見送る判断もあり得ます。
やまだやのセカンドオピニオン
契約を検討中の方、現在の契約を見直したい方から、次のようなご相談をお受けしています。
- 契約書の中途解約条項と、違約金の計算根拠の確認
- 月額の内訳(制作費分・保守費分・サーバー代・ドメイン代)の整理
- 解約時に支払うべきものと、支払う根拠が薄いものの仕分け
- 業者への質問事項の整理
やまだやで作り直すことを前提にはしていません。今の契約を続ける判断、別の業者へ切り替える判断、どちらでもお客様自身が選べる材料を整えるのが、セカンドオピニオンの目的です。